

「ぶどう膜炎と診断されたのに、なぜか眼圧まで高いと言われた」「目の充血や痛みに加えて、眼圧が上がっていると聞いてとても不安になった」――そのような経験はありませんか。
ぶどう膜炎は、炎症によって房水の排出が妨げられたり、治療に使用するステロイド薬の影響で房水の排出抵抗が増加したりすることで、眼圧が上昇することがあります。一方、炎症によって房水の産生が低下し、眼圧が下がる場合もあります。眼圧の上昇を放置すると視神経へのダメージが蓄積する可能性があるため、早めに専門医に相談することが大切です。
この記事では、ぶどう膜炎で眼圧が上がるしくみ・緑内障との関係・日常生活での注意点までを具体的に解説します。
ぶどう膜炎で眼圧が上がる?目の中で何が起きているのか
「ぶどう膜炎」とはどんな病気か
ぶどう膜炎とは、眼球の中層にある「ぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)」を中心に炎症が生じる疾患の総称です。炎症は、網膜など周囲の組織にも及ぶことがあります。原因は感染症・自己免疫疾患・全身疾患の合併など多岐にわたり、原因不明のケースも少なくありません。
主な症状は、目の充血・かすみ目・光がまぶしい(羞明)・目の痛み・飛蚊症などです。片眼だけに起こることも、両眼に生じることもあります。炎症が強い時期には視力が著しく低下することもあるため、早期に適切な治療を受けることが重要です。
ぶどう膜炎は一度で完結せず、再燃・再発を繰り返すことがある疾患です。「症状がよくなったから大丈夫」と自己判断して通院をやめてしまうと、知らないうちに炎症が再発し、視機能に影響が出ることがあります。
「眼圧」とはそもそも何か
眼圧とは、眼球の内部を満たしている液体(房水)の圧力のことです。房水は毛様体で産生され、目の中を循環したのち、主にシュレム管という排出路から眼外へ流れ出ていきます。この産生と排出のバランスが保たれることで、眼圧は一定の範囲(目安として10〜21mmHg)に保たれています。
眼圧が高い状態が続くと、視神経に障害が生じるリスクが高まります。ただし、眼圧が正常範囲でも緑内障を発症することがあり、緑内障は眼圧の数値だけでは判断できません。ぶどう膜炎は、房水の産生と排出のバランスをさまざまな形で乱すことがあるため、眼圧の定期的なチェックが欠かせない疾患のひとつとされています。
「目が充血しているだけでは?」よくある誤解
ぶどう膜炎に伴う充血を「疲れ目や結膜炎だろう」と思い込み、市販の目薬で様子を見ようとする方が少なくありません。しかし結膜炎と異なり、ぶどう膜炎は眼球内部の炎症であるため、市販の点眼薬では炎症を抑えることができません。
また、「眼圧が高いのは緑内障だけの問題では?」と考える方も多いのですが、ぶどう膜炎自体が眼圧を上昇させることがあります。ぶどう膜炎と眼圧上昇は、切り離して考えられない関係にあります。気になる症状があれば、早めに眼科専門医へ相談することをおすすめします。
ぶどう膜炎で眼圧が上がる3つのメカニズム
ぶどう膜炎が眼圧を上昇させる経路は一つではありません。主に以下の3つのしくみが関与しています。それぞれのメカニズムを理解することで、なぜ定期的な眼圧測定が必要なのかがわかります。
ぶどう膜に炎症が起きると、白血球や炎症性物質が房水中に大量に放出されます。炎症細胞や炎症に伴う物質などが房水の排出路である線維柱帯の機能を妨げることで、房水の排出抵抗が増加し、眼圧が上昇することがあります。また、炎症が長引くと線維柱帯に器質的な障害が生じ、排出機能が低下する場合もあります。
炎症が強い場合、虹彩(黒目の周りの茶色い部分)が水晶体に癒着することがあります(虹彩後癒着)。虹彩後癒着が瞳孔の全周に及ぶと、後房から前房への房水の流れが妨げられることがあります。その結果、虹彩が前方に膨隆して隅角が閉塞し、眼圧が急激に上昇する場合があります。虹彩後癒着は放置すると眼圧急上昇のリスクがあるため、早期発見・早期治療が重要です。
ぶどう膜炎の治療には炎症を抑えるためにステロイド薬(点眼・内服・注射)がよく使用されます。しかしステロイドには、線維柱帯の機能を低下させて房水の排出を妨げる作用があり、眼圧を上昇させることがあります(ステロイド緑内障)。ステロイド使用中は眼圧の定期的なモニタリングが欠かせません。
ぶどう膜炎による眼圧上昇と緑内障の違い・関係
続発性緑内障とは
ぶどう膜炎が原因・背景となって生じる緑内障を「続発性緑内障」と呼ぶことがあります。一般的な緑内障と異なり、炎症という根本的な原因が存在するため、眼圧を下げる治療と並行してぶどう膜炎そのものの治療も進めることが求められます。
眼圧の目安として10〜21mmHgが正常範囲とされていますが、ぶどう膜炎に伴う緑内障では、眼圧の上昇に加えて、炎症や治療薬の影響など複数の要因が関与することがあります。眼圧が正常範囲内であっても、視神経の状態や視野の変化を確認し、総合的に評価することが重要です。
ぶどう膜炎では逆に眼圧が下がることも
ぶどう膜炎では眼圧が上がるケースばかりではありません。ぶどう膜炎では、毛様体の炎症によって房水の産生が低下し、眼圧が低下することがあります。特に炎症が強い場合には、低眼圧が眼球の構造や視機能に影響することもあるため、眼圧の変化を継続的に確認することが重要です。
このように、ぶどう膜炎の経過中は眼圧が上下に変動することがあります。「先日の測定では正常だったから」と安心せず、継続的な通院と眼圧測定が重要です。

緑内障との見分け方・注意点
ぶどう膜炎に伴う眼圧上昇は、通常の緑内障と似た経過をたどることがあるため、専門医による詳細な検査が必要です。隅角鏡検査・視野検査・眼底検査などを組み合わせて、眼圧上昇の原因と視神経への影響を評価します。
「眼圧が少し高いと言われた」段階でも、ぶどう膜炎が背景にある可能性を専門医に確認してもらうことが大切です。原因が異なれば治療方針も変わりますので、自己判断せずに眼科を受診するようにしましょう。
ぶどう膜炎の眼圧上昇に対する治療・対処法
まずは炎症を抑えることが優先
ぶどう膜炎による眼圧上昇の治療では、炎症を抑えることが基本です。炎症が続くと、房水排出路の障害や虹彩の癒着などによって眼圧が上昇することがあります。ただし、眼圧上昇の原因や程度は症例によって異なるため、炎症のコントロールと眼圧管理を並行して行うことが重要です。
炎症の治療には、主にステロイド点眼薬・ステロイド内服薬・免疫抑制薬などが使用されます。原因が感染症の場合は、原因微生物に応じた抗菌薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬などが用いられます。治療薬の選択は原因や重症度によって異なりますので、専門医の指示に従って使用することが重要です。
眼圧降下薬の使用と注意点
炎症の治療に加えて、眼圧が高い場合には眼圧降下薬(点眼薬)を使用することがあります。房水の産生を抑えるタイプや、排出を促すタイプなど種類があり、症状や状態に応じて使い分けられます。
⚠ 注意:ステロイド使用中は眼圧に要注意
ぶどう膜炎の炎症を抑えるために使用するステロイド薬は、眼圧を上昇させることがあります(ステロイド緑内障)。特にステロイド点眼薬を長期使用している場合は、定期的に眼圧を測定することが重要です。「点眼薬だから安心」という認識は誤りで、点眼薬でも眼圧上昇が起こり得ます。自己判断で点眼を続けたり、急にやめたりせず、必ず医師の指示に従ってください。
レーザー治療・手術が必要なケース
虹彩後癒着が広範囲に及んで房水の流れが完全に遮断されている場合や、眼圧降下薬だけでは眼圧のコントロールが不十分な場合には、レーザー治療や手術が検討されることがあります。
また、薬物治療で眼圧を十分にコントロールできない場合には、病態に応じて線維柱帯切開術や線維柱帯切除術などの緑内障手術が検討されます。瞳孔ブロックによる隅角閉塞がある場合は、レーザー虹彩切開術などが選択肢となることもあります。いずれも専門的な判断が必要ですので、症状が悪化している場合は早めに受診してください。
南船橋眼科のぶどう膜炎・眼圧管理へのこだわり
南船橋眼科では、ぶどう膜炎を含む専門性の高い眼科疾患に対して、各領域のスペシャリストがチームで診療にあたっています。
- 🔬 ぶどう膜炎専門医が在籍し、複雑な症例にも対応。重症例は専門病院へ紹介連携する体制を整えています。
- 📋 緑内障・眼圧管理にも対応。ぶどう膜炎と眼圧上昇が並存する複合的なケースも、専門医が継続してフォローします。
- 🏥 院内にレーザー治療機器を完備。レーザー治療が必要な場合も、同院内で対応できる体制です。
- 🕐 土日祝日も診療(月・火・木・金・土:10:00〜18:30、日・祝:10:00〜17:30)。平日に通院が難しいワーキング世代・ファミリー層も通いやすい環境です。
- 🚉 南船橋駅直結・ららテラスTOKYO-BAY 2階。改札を出て左すぐ徒歩1分。WEB予約で待ち時間もスムーズです。

こんな症状があったら早めに受診を|受診の目安
すぐに受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、できるだけ早めに眼科を受診してください。特に急激な症状変化は、眼圧の急上昇など緊急性が高い状態のサインである可能性があります。
- 突然の目の痛み・頭痛(特にこめかみ周辺)
- 急激な視力の低下・かすみ目
- 虹がかかって見える(虹視症)
- 光が非常にまぶしく感じる
- 目が赤く充血している状態が続く
虹視症(電球などの光の周りに虹が見える)は眼圧急上昇のサインの可能性があります。このような症状が現れた場合はすぐに眼科を受診してください。
ぶどう膜炎治療中に注意したい日常生活のポイント
ぶどう膜炎の治療中・経過観察中は、日常生活でも気を付けていただきたい点があります。
- 処方された点眼薬・内服薬は自己判断で中断しない
- 定期通院と眼圧測定を欠かさない
- 強い光でまぶしさを感じる場合は、サングラスなどで目への刺激を軽減しましょう。紫外線やブルーライトを避けること自体が、ぶどう膜炎の再発や眼圧上昇を防ぐと確立されているわけではありません
- 睡眠不足・過度なストレスは免疫機能に影響するため、十分な休息を心がける
- 体調の変化(全身疾患の悪化など)があれば、眼科医に報告する
再発・再燃のサインを見逃さないために
ぶどう膜炎は治療後も再発・再燃することがあります。「以前より症状が軽い」「短期間で治まった」場合でも、繰り返す炎症は眼圧や視神経に積み重なるダメージを与える可能性があります。
「もう治ったから」と通院をやめることなく、症状がない時期でも定期的な眼圧チェックと眼底検査を続けることが、長期的な視機能の保護につながります。かかりつけの眼科医と長期的な信頼関係を築くことが重要です。
よくある質問(ぶどう膜炎と眼圧について)
📝 この記事のまとめ
- ✅ ぶどう膜炎は炎症による房水排出路の障害・虹彩後癒着・ステロイドの副作用の3経路で眼圧を上昇させることがある
- ✅ 眼圧上昇は自覚症状が出にくいため、症状がない時期でも定期的な眼圧測定・眼底検査が重要
- ✅ ステロイド治療中は眼圧のモニタリングが欠かせない。自己判断での中止・継続は危険
- ✅ 突然の目の痛み・虹視症・急激な視力低下は眼圧急上昇のサインの可能性があり、早急な受診が必要
- ✅ ぶどう膜炎は再発しやすい疾患。長期的に専門医のフォローを受けることが視機能の保護につながる
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千葉県船橋市・南船橋駅直結のららテラスTOKYO-BAY 2階にある南船橋眼科では、ぶどう膜炎・緑内障・眼圧管理などの専門的な診療に対応しています。土日祝日も診療していますので、まずはお気軽にご相談ください。




👨⚕️ 院長 佐倉達朗 より
ぶどう膜炎は「目の炎症」という側面だけでなく、全身疾患との関連や眼圧・視神経への影響まで、多角的に診ていく必要がある疾患です。「充血が続いている」「以前ぶどう膜炎と診断されたことがある」という方は、症状が落ち着いているように感じていても、定期的な受診と眼圧チェックを欠かさないようにしてください。「目の健康をもっと身近に」という理念のもと、患者さんお一人おひとりに寄り添いながら、丁寧にご説明し最適な治療をご提案してまいります。