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白内障手術のリスクとは何か?なぜゼロにならないのか?
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き人工の眼内レンズを挿入する手術です。現代の医療技術では非常に安全性が高く、局所麻酔・日帰りで受けられるほど低侵襲になっています。
しかし、どんなに技術が進歩しても、手術である以上リスクをゼロにすることはできません。目の中を操作する精密な手術だからこそ、術中・術後を通じて一定の確率で合併症が起こりえます。
大切なのは「怖い」と感じて手術を避けることではなく、起こりうるリスクを正しく理解し、早期に対応できる準備をしておくことです。本記事では、術中合併症・術後合併症のそれぞれについて、発生頻度・症状・対処法をわかりやすく解説します。
術中に起こりうる合併症にはどのようなものがあるか?
術中合併症は、手術操作そのものに伴って発生するトラブルです。経験豊富な術者が担当することでリスクを最小限に抑えられますが、完全にゼロにはできません。
後嚢破損(こうのうはそん)とは?
白内障手術で最も頻度が高い術中合併症のひとつです。水晶体を包む薄い膜(後嚢)が、超音波で水晶体を砕く際に誤って破れてしまう状態をいいます。
- 起こること:硝子体が前方に出てきてしまう
- 対処法:硝子体切除を追加で行い、眼内レンズは嚢外固定または後日縫着術になる場合がある
- 影響:手術時間が延びることがあるが、適切に対処すれば視力への影響は最小限
核落下(かくらっか)とは?
後嚢破損が起きた際に、水晶体の硬い核が硝子体内に落ちてしまう状態です。落下核が1/4以下であれば自然吸収を期待して経過観察とし、残存核が大きい場合には硝子体手術で除去します。
虹彩脱出(こうさいだっしゅつ)とは?
切開創から虹彩(茶色目の部分)が飛び出してしまう状態です。前立腺肥大症治療薬などを飲んでいる方に起こりやすいとされています。
- 対処法:脱出した虹彩を速やかに戻し、切開創を縫合して新たな切開創を作成し手術を続行する
- 翌日発見の場合:再手術で虹彩を切除することもある
創口熱傷(そうこうねっしょう)とは?
核が硬い白内障の場合、超音波の出力と時間が増大し、切開創に熱が発生して変形が起こる状態です。切開創の閉鎖不全を防ぐため、手術中に縫合が必要になります。術前の精密検査で核の硬さを把握しておくことが予防につながります。
その他の術中合併症
- infusion misdirection syndrome(IMS):潅流液が硝子体腔に回り前房が浅くなる状態。手術設定を変更することで続行可能
- チン小帯断裂:水晶体を支える糸状組織が切れる状態。眼内レンズの固定方法の変更が必要になる場合がある
- 駆逐性出血:非常にまれだが、眼を切開した際に大量出血が起こる可能性がある

術後に起こりうる合併症にはどのようなものがあるか?
術後合併症は、手術が無事に終わった後に発生するトラブルです。多くは適切な点眼と定期通院で早期発見・早期治療が可能ですが、放置すると視力に重大な影響を及ぼすものもあります。
術後眼内炎(じゅつごがんないえん)
最も深刻な術後合併症です。細菌が目の中で増殖し、眼の組織を溶かしてしまう状態です。
- 発症時期:ほとんどが術後1週間以内(術後2〜3日がピーク)。ただし22%は術後1ヵ月以上の晩期発症
- 症状:急激な視力低下・目の痛み・充血・目やにの増加
- 対処法:早期発見・早期治療が原則。抗菌薬の硝子体注射または硝子体手術が適応
- 予防:術後の点眼を確実に行い、目を清潔に保つことが最重要
残念ながら現在の医療レベルでは完全な予防は不可能です。異常を感じたらすぐに受診することが視力を守る唯一の手段です。
後発白内障(こうはつはくないしょう)
白内障手術後、眼内レンズが入っている袋(水晶体嚢)が再び濁る状態です。
術後5年で約20%の方に発症するとされています。
- 症状:視界のかすみ・まぶしさなど、白内障と似た症状
- 治療:YAGレーザーで後嚢を切開するだけで視力が回復する。外来で数分、痛みなし
- 再発:一度レーザー治療を受ければ、基本的に二度と後発白内障にはならない
眼圧上昇
術後に眼内圧が上昇する状態です。緑内障眼・後嚢破損例・術後炎症・粘弾性物質の残存・ステロイドレスポンダーなど、さまざまな原因があります。点眼や内服で眼圧を下げる治療を行います。
屈折誤差(くっせつごさ)
術前に計算した眼内レンズの度数と、実際の術後の見え方にズレが生じる状態です。最新の光学式眼軸測定装置を使用しても約5%に誤差が生じるとされています。通常は眼鏡で補正しますが、場合によっては眼内レンズの交換も検討されます。
眼内レンズ偏位(がんないれんずへんい)
挿入した眼内レンズの位置がずれてしまう状態です。後嚢破損・チン小帯断裂などの術中トラブル、術後の前嚢収縮、外傷などが原因となります。
- 症状:視力低下・ぼやけ・複視など
- 治療:ピロカルピン点眼、再手術によるレンズ位置補正、状況によっては眼内レンズの縫着手術
黄斑浮腫(おうはんふしゅ)
術後2〜4週目に、網膜の中心部である黄斑に水膨れが生じる状態です。手術による機械的刺激が網膜血管の透過性を高めることで発症します。糖尿病網膜症を持つ方や術後の点眼を守らない方に起こりやすいとされています。
- 症状:視力低下・ゆがみ
- 治療:点眼治療・硝子体注射。改善しない場合は硝子体手術
角膜内皮障害・水疱性角膜症
超音波による水晶体破砕の衝撃で角膜内皮細胞が減少する状態です。重篤な場合は角膜が白く濁り(水疱性角膜症)、角膜移植が必要になることがあります。術前から角膜内皮細胞数を計測し、リスクを評価することが重要です。
飛蚊症・硝子体混濁
目の前に黒い浮遊物が見える症状です。白内障手術自体が直接の原因になることは少ないですが、術後に視力が改善したことで、もともとあった飛蚊症が目立つようになる場合があります。

合併症リスクを高める要因にはどのようなものがあるか?
合併症のリスクは、患者さんの目の状態や全身の健康状態によって異なります。以下に当てはまる方は、術前に担当医に必ず相談してください。
- 糖尿病:糖尿病網膜症・黄斑浮腫のリスクが上昇する
- 緑内障:術後の眼圧上昇・視野障害が残るリスクがある
- 強度近視:眼軸が長く、眼内レンズの度数計算誤差が生じやすい
- 落屑症候群:チン小帯が弱く、術中合併症のリスクが高まる
- 角膜内皮細胞数が少ない方:術後の角膜混濁リスクが高まる
- 核が非常に硬い白内障:超音波出力が増大し、創口熱傷や角膜内皮障害のリスクが上昇する
これらのリスク因子がある場合でも、術前の精密検査と適切な手術計画によってリスクを最小限に抑えることが可能です。経験豊富な眼科専門医による手術を選ぶことが、安全性を高める最大のポイントです。
合併症を予防するために患者ができることは何か?
合併症の予防において、患者さん自身の行動も非常に重要な役割を果たします。
術後の点眼を正確に守る
術後の抗菌薬点眼・抗炎症点眼は、眼内炎・黄斑浮腫・眼圧上昇を防ぐための最重要ケアです。回数・量・順番を守り、決して自己判断でやめないでください。
定期通院を欠かさない
術後1日目・3日目・1週間・1ヵ月・3ヵ月の定期検診は、合併症の早期発見に直結します。自覚症状がなくても必ず受診してください。
異常を感じたらすぐ受診する
以下の症状が現れた場合は、翌日まで待たずにすぐ受診してください。
- 急激な視力低下
- 強い目の痛み・充血
- 目やにの急増
- 光がひどくまぶしい
- 物がゆがんで見える
術後の生活制限を守る
- 洗顔・洗髪:術後4に置換は目に水が入らないよう注意
- 飲酒・激しい運動:術後1〜2週間は控える
- 目のこすり:術後しばらくは避ける
- 水泳・温泉:術後1ヵ月程度は禁止
南船橋眼科での白内障手術はどのような体制で行われているか?
南船橋眼科(千葉県船橋市若松2丁目2-1 ららテラスTOKYO-BAY2階)は、2024年3月に開院した眼科クリニックです。JR京葉線・武蔵野線の南船橋駅直結・徒歩1分という好立地で、土日祝日も診療・WEB予約に対応しています。
院長の佐倉達朗医師は、大学病院および総合病院で多くの白内障手術を担当してきた豊富な経験を持ちます。東京医科歯科大学(現:東京科学大学)先端近視センターでの経験も有し、患者さん一人ひとりのリスク因子を丁寧に評価した上で手術計画を立てることを大切にしています。
- 手術時間:約10分程度(日帰り対応)
- 切開サイズ:約2.4mmの小切開、出血もほとんどなし
- 眼内レンズ:多焦点眼内レンズ・乱視矯正レンズなど豊富な種類から最適なレンズを提案
- 術前検査:精密な眼軸測定・角膜内皮細胞数計測などでリスクを事前評価
合併症のリスクについても、診察室と同じ目線で丁寧にご説明します。不安なことは何でも遠慮なくご相談ください。
南船橋眼科では、白内障手術に関する無料相談・WEB予約を受け付けています。南船橋駅直結のららテラスTOKYO-BAY2階にあり、雨の日も快適にご来院いただけます。土日祝日も診療しておりますので、お気軽にご予約ください。

よくある質問
白内障手術で失明することはありますか?
非常にまれですが、術後眼内炎や駆逐性出血などの重篤な合併症が発生し、適切な治療が遅れた場合に失明するリスクがゼロではありません。発生頻度は極めて低く、早期発見・早期治療で多くは回避できます。
術後眼内炎はどのくらいの確率で起こりますか?
全国平均で2,000例に1例(0.5%)とされています。術後の点眼を正確に守ることが最大の予防策です。急激な視力低下や目の痛みが現れたらすぐに受診してください。
後発白内障になったらどうすればいいですか?
YAGレーザーで後嚢を切開する外来治療で、数分で視力を回復できます。痛みはなく入院も不要です。一度治療を受ければ基本的に再発しません。
白内障手術後に視力が思ったより出ないことはありますか?
最新の光学式眼軸測定装置を使用しても約5%に屈折誤差が生じるとされています。通常は眼鏡で補正しますが、誤差が大きい場合は眼内レンズ交換も検討されます。
糖尿病があっても白内障手術を受けられますか?
受けられますが、糖尿病網膜症・黄斑浮腫などのリスクが高まります。術前に血糖コントロールの状態と眼底の状態を十分に評価した上で、手術計画を立てることが重要です。
白内障手術後はいつから普通の生活ができますか?
翌日から軽い日常生活は可能ですが、洗顔・洗髪・飲酒・激しい運動は術後1〜2週間は控えてください。水泳・温泉は術後1ヵ月程度禁止です。医師の指示を必ず守ってください。
眼内レンズがずれることはありますか?
後嚢破損・チン小帯断裂などの術中トラブルや術後の前嚢収縮、外傷が原因で眼内レンズがずれる(偏位)ことがあります。視力低下を感じたら早めに受診し、必要に応じて再手術でレンズを固定します。
白内障手術後に飛蚊症が増えることはありますか?
手術自体が直接の原因になることは少ないですが、術後に視力が改善したことで、もともとあった飛蚊症が目立つようになる場合があります。急激に増えた場合は網膜剥離の可能性もあるため受診してください。
多焦点眼内レンズを選ぶと合併症リスクは変わりますか?
手術自体の合併症リスクは単焦点と大きく変わりません。ただし多焦点レンズは光のにじみ・ハロー・グレアなどの見え方の変化が生じる場合があります。術前に十分な説明を受けて選択することが大切です。
白内障手術は何歳でも受けられますか?
年齢制限はありませんが、全身状態や目の状態によって手術リスクが変わります。高齢の方や複数の基礎疾患がある方は、術前に全身状態と眼の状態を詳しく評価することが重要です。
結論
白内障手術は現代の眼科医療において安全性の高い手術ですが、術後眼内炎(2,000例に1例)・後発白内障(術後5年で約20%)・屈折誤差(約5%)など一定のリスクは存在します。リスクを正しく理解した上で、術後の点眼・定期通院・生活制限を守ることが合併症予防の要です。異常を感じたら迷わずすぐ受診することが視力を守る最大の行動指針です。経験豊富な眼科専門医のもとで手術を受け、術後管理を丁寧に行うことで、多くの方が安全に視力を回復できます。
著者情報
南船橋眼科 院長 佐倉達朗

経歴
- 筑波大学医学群医学類 卒業
- 東京都立多摩総合医療センター 臨床研修医
- 東京医科歯科大学医学部附属病院 眼科
- 東京都保健医療公社大久保病院 眼科
- 川口市立医療センター 眼科
- 川口工業総合病院 眼科
- 柏厚生総合病院 眼科
- 南船橋眼科 院長



