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「毎日目薬をさしているのに、全然よくならない…」
そんな悩みを抱えている方は、実はとても多いです。ドライアイは日本で2,000万人以上が抱えているとされる身近な疾患ですが、目薬だけで完全に解決できるケースは限られています。
目薬を使い続けても改善しない場合、それは治療の方向性を見直すべき重要なサインかもしれません。原因を正しく把握しないまま点眼を続けても、症状が長引くだけです。
この記事では、ドライアイで目薬が効かない主な理由と、治療を見直すべき5つのサインを詳しく解説します。眼科専門医として日々診療にあたる立場から、見逃しがちなポイントをわかりやすくお伝えします。
ドライアイ症状が続いている方へ
千葉県船橋市でドライアイや目の乾きについて相談したい方は、南船橋眼科へご相談ください。
症状の原因や生活環境も確認しながら、治療方法をご案内しています。
そもそも「ドライアイ」とは何か?
ドライアイとは、涙の分泌量が減ったり、量は十分でも涙の質が低下することで、目の表面を潤す力が低下してしまう疾患です。
「目が乾く」という症状だけでなく、目がゴロゴロする、目が疲れる、充血しやすい、かすんで見える…といった多彩な症状が現れます。
近年の研究では、ドライアイは「涙液層の安定性の低下」によって起こるとされており、大きく2つのタイプに分けられます。
- 涙液減少型…涙そのものの量が少ないタイプ
- 蒸発亢進型…涙の質が低下し、蒸発しやすくなるタイプ
多くの方が「目薬を使えば治る」と思いがちですが、ドライアイの治療は症状を緩和することが目的であり、完全に根治できるわけではありません。
さらに、ドライアイのタイプや原因によって、適切な治療法は大きく異なります。

目薬が効かない理由① タイプが合っていない
目薬の種類は、ドライアイのタイプに合わせて選ぶ必要があります。
たとえば、ヒアルロン酸製剤は目の表面の傷を修復する作用がありますが、眼表面に20分程度しか滞留せず、涙液量を根本的に増やす効果はありません。
一方、ジクアホソルナトリウム点眼薬(ジクアス®)は水分量を増やし、ムチンという物質の産生を促進します。ムチンは水と油を馴染ませ、油膜を安定化させる役割を持っています。点眼後2〜3時間効果が持続するため、中等度以上のドライアイに向いています。
レバミピド点眼薬(ムコスタ®)はムチンの産生促進に加え、粘膜の炎症を抑える効果もあります。炎症を伴うタイプのドライアイには特に有効とされています。
市販の人工涙液は防腐剤が入っていないものが多く手軽に使えますが、有効成分が入っておらず、頻回に点眼しすぎると涙液中の有効成分まで流してしまう点に注意が必要です。
自分のドライアイがどのタイプか、どの点眼薬が合っているかは、眼科での検査なしに判断するのは難しいです。「なんとなく合いそうな目薬を使い続けている」という方は、一度見直しが必要かもしれません。
治療を見直すべき5つのサイン
目薬を続けても改善しない場合、以下の5つのサインに当てはまっていないか確認してみてください。
サイン① マイボーム腺機能不全(MGD)が隠れている
ドライアイの約86%にMGD(マイボーム腺機能不全)があることが報告されています。
「マイボーム腺」とは、まつ毛の生え際にある油を分泌する器官です。正常な状態では、マイボーム腺から分泌された油分が目の表面に膜を作り、涙液の過度な蒸発を抑えています。
マイボーム腺が詰まるなどして油の分泌機能が低下すると、油層によるカバーがなくなり、涙液が蒸発しやすくなります。これが「蒸発亢進型ドライアイ」の主な原因です。
この場合、水分を補う目薬だけでは根本的な改善は難しく、温罨法(まぶたを温める)や眼瞼清拭(リッドハイジーン)などのケアが必要になります。
「目薬をさしてもすぐに乾く感じがする」という方は、MGDが背景にある可能性があります。

サイン② シェーグレン症候群など自己免疫疾患が関係している
ドライアイの背景に、全身疾患が隠れているケースがあります。
代表的なのが「シェーグレン症候群」という自己免疫疾患です。涙腺や唾液腺の組織に対する免疫反応が生じ、強いドライアイや口腔乾燥症状をきたします。
シェーグレン症候群では、女性の割合が男性の10〜20倍多いとされています。
「目が乾くだけでなく、口も乾く」「関節が痛む」という方は、眼科だけでなく内科での検査も受けることをお勧めします。膠原病や自己免疫疾患の多くは、ドライアイを高率に合併します。
こうした全身疾患が原因の場合、目薬だけで対処しようとしても根本的な改善は見込めません。内科的な治療と並行して眼科での管理が必要です。
サイン③ 内服薬の副作用でドライアイが起きている
ある種の内服薬は、涙液の分泌を減らす作用があります。
抗不安薬や抗精神病薬の中にはドライアイを生じやすくするものがあり、抗ヒスタミン薬や利尿剤の一部も関連しています。
これらの薬を長年服用されている方でドライアイに悩んでいる場合は、主治医と相談することが大切です。薬の変更や調整によって、ドライアイが改善するケースもあります。
「いつから目が乾くようになったか」を振り返ったとき、薬の服用開始時期と重なっている場合は、薬との関連を疑ってみてください。

サイン④ 結膜弛緩症や眼表面の炎症が関与している
「摩擦亢進型ドライアイ」という概念が近年注目されています。
結膜弛緩症(白目のたるみ)や眼表面の炎症が原因となり、まばたきのたびに摩擦が生じてドライアイが悪化するタイプです。
このタイプは、単純に水分を補う目薬では改善しにくく、炎症を抑えるステロイド点眼薬や、場合によっては手術的な治療が必要になることもあります。
「目薬をさしても、まばたきのたびに違和感がある」「目がゴロゴロして痛い感じが続く」という方は、このタイプの可能性があります。
サイン⑤ 生活環境の悪化要因が改善されていない
目薬の効果を下げてしまう生活環境の問題も見逃せません。
ドライアイを悪化させる「3つのコン」として、「エアコン」「コンタクトレンズ」「コンピュータ(VDT作業)」が挙げられます。
- エアコン…低湿度・低温が涙の蒸発を促進します
- コンタクトレンズ…涙の膜を分断し、不安定にします
- コンピュータ作業…まばたきの回数が減り、ドライアイが悪化します
また、ストレス状態が続くと交感神経が優位になり、涙液の分泌が抑えられます。週末に症状が軽くなる方は、平日のストレスや環境要因が影響している可能性があります。
目薬を使いながらも、こうした悪化要因を減らす取り組みをしないと、なかなか改善しません。
目薬だけでは改善しない方へ
ドライアイ治療の見直しについて確認したい方は、千葉県船橋市の南船橋眼科へご相談ください。
症状の程度や原因に合わせながら、検査や治療の進め方をご説明しています。
目薬以外の治療法を知っておこう
点眼治療で改善が見られない場合、眼科では以下のような治療法が選択されることがあります。
涙点プラグ・コラーゲンゲル
涙の出口(涙点)を塞いで、涙を目の表面に留める治療法です。
コラーゲンゲルは涙点から涙嚢に流し込んで固め、涙の流出を防ぎます。3ヶ月程度で自然に吸収されるため、まずお試しとして行われることもあります。
忙しくて何回も点眼できない方や、点眼治療だけでは効果が不十分な方に向いている治療です。
温罨法・眼瞼清拭(リッドハイジーン)
MGDに対して有効なセルフケアです。
目の周囲を温めることでマイボーム腺の詰まりを緩和し、まぶたの血流を改善します。1日5分、毎日2回行うと早期に効果を実感できるとされています。
眼瞼清拭は、まぶたの縁を清潔に保つことでマイボーム腺の開口部の詰まりを防ぐケアです。
IPL治療(光治療)
近年注目されているのが、IPL(Intense Pulsed Light)を用いた治療です。
光の温熱効果によってマイボーム腺の詰まりを解消し、炎症を改善、涙の油層を正常化することでドライアイを改善します。点眼とは異なり、根治的な治療を目指せる施術として注目されています。
ただし自費診療となるため、費用や適応については担当医とよく相談することが大切です。

ドライアイを放置するとどうなるか
ドライアイは失明に直結する病気ではありませんが、放置すると生活の質を大きく損ないます。
重症になると、角膜(黒目)の表面に無数の傷がついてしまうことがあります。これを「角膜上皮障害」といい、適切な対処をしないまま放置した場合、視力の低下が起こる可能性があります。
また、ドライアイのために結膜炎やものもらいにかかりやすくなったり、花粉症などのアレルギー性結膜炎が重症化したりするケースもあります。
「たかが目の乾き」と軽く見ず、改善しない場合は早めに眼科を受診することをお勧めします。
「目薬が効かない」は、体からの大切なサインです。原因を正しく知ることが、改善への第一歩です。
眼科受診のタイミングと診察内容
以下のような状態が続く場合は、早めに眼科を受診してください。
- 市販の目薬を使っても2週間以上改善しない
- 目の痛みや強い異物感がある
- 視力が落ちた気がする、かすみが続く
- 口の乾きや関節痛など、全身症状を伴う
- コンタクトレンズが装用できなくなった
眼科では、ドライアイの診断のために以下のような検査が行われます。
- 涙液量の検査(シルマーテストなど)
- 涙液の安定性の評価(BUT検査)
- 角膜・結膜の染色検査
こうした検査を通じて、ドライアイのタイプや重症度を正確に把握することで、最適な治療法を選択することができます。
「どんな検査をするのか不安…」という方も、ご安心ください。検査は基本的に痛みを伴わないものがほとんどです。

南船橋眼科からのご案内
目の乾きや不快感でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
南船橋眼科では、ドライアイをはじめとする目のさまざまなお悩みに対応しています。視力検査・細隙灯検査・散瞳検査などを用いた丁寧な診断を行い、患者さまの状態に合わせてわかりやすくご説明します。
また、白内障の診断・治療にも力を入れています。「最近見えにくくなった」「まぶしさが気になる」という方は、白内障のサインである可能性もあります。
当院では日帰り白内障手術に対応しており、切開はわずか2.4mmほど、手術時間は10分程度(症例により前後)と、身体への負担が少ない治療を提供しています。Alcon社製の最新手術機器「CENTURION」を導入し、手術中の眼圧を細かく調整することで、眼への負担を軽減しています。
単焦点レンズ・多焦点レンズ・保険適応の乱視矯正レンズ(トーリック)など、患者さまの生活スタイルに合わせたレンズ選びをサポートします。費用は保険診療で、1割負担で約13,000円、3割負担で約40,000円(片目)です。生命保険の手術給付金や高額療養費制度も併用できる場合があります。
「目のことで気になることがある」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。南船橋の地域に根ざした眼科として、皆さまの”見える安心”を全力でサポートいたします。
まとめ
ドライアイで目薬が効かない場合、その背景にはさまざまな原因が隠れています。
- 点眼薬のタイプがドライアイの種類と合っていない
- マイボーム腺機能不全(MGD)が関与している
- シェーグレン症候群などの自己免疫疾患が背景にある
- 内服薬の副作用が影響している
- 結膜弛緩症や眼表面の炎症が関与している
- 生活環境の悪化要因が改善されていない
目薬を使い続けても改善しないときは、「なぜ効かないのか」を正しく把握することが大切です。
ドライアイは放置すると角膜に傷がつき、視力低下につながる可能性もあります。「たかが目の乾き」と思わず、改善しない場合は早めに眼科を受診してください。
目の不快感を一人で抱え込まず、専門家に相談することが、改善への一番の近道です。
慢性的な目の不快感を相談したい方へ
千葉県船橋市でドライアイや目の疲れについて相談したい方は、南船橋眼科へご相談ください。
毎日の目の使い方や症状に合わせながら、無理のない治療方法をご提案しています。
著者情報
南船橋眼科 院長 佐倉達朗

経歴
- 筑波大学医学群医学類 卒業
- 東京都立多摩総合医療センター 臨床研修医
- 東京医科歯科大学医学部附属病院 眼科
- 東京都保健医療公社大久保病院 眼科
- 川口市立医療センター 眼科
- 川口工業総合病院 眼科
- 柏厚生総合病院 眼科
- 南船橋眼科 院長



