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パソコンやスマートフォンを長時間使用していると、目が乾いたり、ゴロゴロとした異物感を覚えたりすることはありませんか?
これらの症状は、単なる疲れ目ではなく、「ドライアイ」という病気のサインかもしれません。
現代社会では、デジタルデバイスの普及やエアコン環境の常態化により、ドライアイに悩む方が急増しています。国内では2,000万人以上の患者がいると推定され、オフィスワーカーの60%以上がドライアイもしくはその疑いがあるというデータもあります。
ドライアイは失明につながる病気ではありませんが、日常生活の質を大きく損なう可能性があります。目の乾燥感や異物感だけでなく、視界のかすみや疲労感、さらには頭痛や肩こりといった全身症状を引き起こすこともあるのです。
本記事では、臨床現場での経験をもとに、ドライアイの正体から症状別の対処法まで、わかりやすく解説していきます。
ドライアイとは何か?~涙の役割と病態~
ドライアイとは、涙の量が不足したり、涙の質が低下することで、目の表面が乾燥する病気です。
涙は単なる水分ではありません。角膜や結膜を保護し、酸素や栄養を届けるという重要な役割を担っています。涙が不足すると、目の表面に傷がつきやすくなり、かすみ・異物感・疲れやすさといった症状が現れます。
涙の3層構造と機能
涙は3つの層から構成されています。
最も内側には「ムチン層」があり、角膜に直接触れて涙を目の表面に留める役割を果たします。中間には「水層」があり、栄養分と水分を含んでいます。そして表面には「油層」があり、被膜として水分の蒸発を防いでいます。
この3層構造のバランスが崩れると、涙が目の表面を均等に覆うことができず、ドライアイの症状が現れるのです。

ドライアイの2つのタイプ
ドライアイには大きく2つのタイプがあります。
涙液分泌低下型は、涙の量そのものが少ないタイプです。加齢や自己免疫疾患などが原因で、涙腺からの分泌量が減少します。
蒸発亢進型は、涙が蒸発しやすいタイプです。まばたきの回数低下やマイボーム腺の機能不全により、涙の表面を覆う油層が不足し、水分が蒸発しやすくなります。
これらは原因や治療方法が異なるため、正確な検査と診断が重要です。南船橋眼科ではフルオレセイン染色などの検査を行い、状態に応じた治療を提案しています。
ドライアイの主な原因~現代生活とリスク要因~
ドライアイを引き起こす原因は多岐にわたります。
デジタルデバイスの長時間使用
スマートフォンやパソコンの画面を長時間見続けると、まばたきの回数が極端に減少します。
通常、私たちは1分間に15回程度まばたきをしていますが、画面を集中して見ているときは1分間に数回程度まで減少することがあります。まばたきは涙を目のすみずみまで届ける役割を持っているため、回数が減ると涙が均等に行き渡らず、ドライアイを引き起こしやすくなります。
涙の表面にある油層は10~15秒ほどしか持たないため、まばたきの回数が減ると油層の膜が破れる前に次の膜が張られず、涙が蒸発しやすい状態になってしまうのです。
エアコンによる乾燥
現代では、自宅、オフィス、公共施設などでエアコンの使用が当たり前になっており、冬場はもちろん、夏場も空気が乾燥しがちです。
空気が乾燥すると、目の表面から蒸発する涙の量が多くなるため、ドライアイが起こりやすくなります。特にエアコンの風が直接当たる場所では、涙がより乾きやすい状態になります。

コンタクトレンズの装用
コンタクトレンズの装用は、涙の蒸発量の増加を招き、ドライアイの原因となります。
特にソフトコンタクトレンズは、まばたきの際に目の表面と摩擦が生じるため、炎症・乾燥のリスクが高くなると言われています。また、ソフト・ハード問わず、レンズの汚れや傷は涙の安定性を低下させ、ドライアイのリスクを高めます。
加齢と性別
涙の分泌量は加齢とともに低下していきます。
また、ドライアイは男性に比べて女性の方が約2倍罹りやすいことが知られています。特に中年以降の女性に多く見られる傾向があります。
ストレスや緊張
涙液の分泌は副交感神経が優位になってリラックスした時に増えますが、交感神経の活性化が続く「ストレス状態」では、涙液の分泌が抑えられてしまいます。
そのため、週末の休みにはドライアイ症状が軽減することもよく経験されます。
全身疾患との関連
膠原病や自己免疫疾患の多くは、ドライアイを高率に合併します。
その代表は、シェーグレン症候群という自己免疫疾患で、涙腺や唾液腺の組織に対する免疫反応が生じ、強いドライアイや口腔乾燥症状をきたします。口が乾いたり、関節痛を伴うような方は、内科での検査も受けたほうがよいでしょう。
ドライアイの多彩な症状~乾き以外のサイン~
ドライアイの症状は、目が乾くという典型的なものだけではありません。
実は、「目の疲れ」として現れることが多く、疲れ目を訴えている人の多くはドライアイの可能性があるといわれています。
主な症状
ドライアイでは以下のような症状が見られます。
- 目が乾く、ゴロゴロする:涙が不足することで、まばたきをする際に目とまぶたの間に摩擦が生じやすくなり、異物感を感じます。
- 目のかすみや視界のぼやけ:涙が不安定な状態では、まだらに濡れた硝子越しに外が見えにくいのと同じで、物がぼやけて見えることがあります。
- 目の疲れやすさ:涙が不足すると、目の表面が刺激を受けやすくなり、疲労感が増します。
- 夕方から症状が悪化する:1日の終わりに向けて涙の分泌量が減少し、症状が悪化する傾向があります。
- まぶしさを感じる:涙の膜が不安定になることで光が乱反射し、夜間のまぶしさや見えにくさにつながることもあります。
- 目の痛みや充血:目の表面が傷つきやすくなり、痛みや充血が生じることがあります。
- 目やにが多くなる:目の表面の炎症により、目やにが増えることがあります。

症状別のタイプ
涙液蒸発型ドライアイでは、目の不快感や見えにくさが症状となって現れます。まばたきの減少、マイボーム腺の萎縮や詰まりによる油分の不足などによって涙の蒸発量が多くなり、乾燥を引き起こします。
涙液減少型ドライアイでは、シェーグレン症候群などの病気が原因で、涙腺が機能しなくなってしまい、目の表面を潤すための基礎分泌性の涙が減少します。しかし、目にゴミが入ったり、泣いたりする時に分泌される反射性の涙は出ます。
ドライアイの診断と検査~正確な評価のために~
ドライアイの正確な診断には、専門的な検査が必要です。
フルオレセイン染色検査
特殊な顕微鏡(スリットランプ)を用い、フルオレセインという染色液を少量点眼して目の表面を観察する検査を行います。
涙の安定性、角膜・結膜の状態、傷の有無を調べることができます。この検査は短時間で終わるものであり、強い痛みなどもありません。
涙液層破壊時間(BUT検査)
同じ染色液を用いた検査に、涙液層破壊時間(BUT検査)があり、これを同時に行うことも可能です。
目を開けた状態で、涙の層が崩れるまでの時間を計測します。5秒以内に涙が乾いてしまう場合は、「BUT短縮型ドライアイ」と呼ばれるタイプで、近年増加しています。
セルフチェック方法
簡易的なセルフチェック方法として、10秒間まばたきせずに目を開けていられるかどうかを確認する方法があります。
10秒間開け続けることができれば、涙の分泌量は正常です。10秒間目を開けていることができない場合には、ドライアイの可能性が高いといわれています。

ドライアイの治療法~症状に応じたアプローチ~
ドライアイの治療は、症状の程度やタイプに応じて選択されます。
点眼治療
軽症から中等症の場合には、点眼薬による治療が基本となります。
ヒアルロン酸点眼は、保湿効果が高く、目の表面を潤します。人工涙液やヒアルロン酸製剤は、涙の成分に近い成分で目の潤いを維持します。
ジクアホソルナトリウム点眼は、涙の分泌を促進する作用があります。ムチンや水分を分泌促進する点眼薬で、涙の量と質を改善します。
レバミピド点眼は、粘膜を保護し、ムチンを産生する作用があります。目の表面の傷の修復を促します。
これらの点眼薬は、ドライアイのタイプに応じて使い分けられます。市販の点眼薬を使用する場合は、防腐剤の入っていないものを選ぶことが推奨されます。防腐剤は、ドライアイでデリケートになっている目の表面に刺激を与える可能性があるためです。
涙点プラグによる治療
点眼薬で改善が不十分な場合は、涙点プラグによる治療を行います。
涙の排出口である「涙点」を、シリコン製または液状のプラグで栓をすることで、涙を目の表面に長く留め、症状の改善を図ります。この治療は短時間で行えます。
シリコン製プラグは直径0.5〜1.0mm程度で、患者様の涙点の大きさに合わせてサイズを選択します。麻酔をした上で挿入するため、痛みもありません。定期的にご来院いただき、涙が溢れるようであれば抜くなどして、調整します。

日常生活でできるドライアイ対策~予防と改善のために~
ドライアイの改善・予防には、生活習慣の見直しも重要です。
意識的にまばたきを増やす
パソコンやスマートフォンを使用する際は、意識的にまばたきの回数を増やしましょう。
1時間に1回は画面から目を離し、遠くを眺めたり、目を閉じたりして、目を休ませる習慣をつけることが大切です。
作業環境の改善
パソコン作業は定期的に休憩を取り、ディスプレイは目線よりやや下に設置することが推奨されます。
目線が下向きになることで、目の表面の露出面積が減り、涙の蒸発を抑えることができます。
室内の乾燥対策
部屋の湿度は50〜60%が理想です。
乾燥している場合は加湿器を使うとよいでしょう。また、エアコンの風が直接当たらないようにすることも重要です。
人工涙液の使用
目の乾燥を感じたときは、人工涙液を使用することで症状を緩和できます。
ただし、市販の目薬には様々な成分が含まれているため、防腐剤の入っていないものを選びましょう。
アイメイクの注意点
まつげの根本には、涙を蒸発させにくくするための油分を分泌するマイボーム腺があります。
このマイボーム腺がアイライナーなどでふさがれてしまうと、涙の表面の油分が不足して蒸発しやすくなり、ドライアイにつながります。アイメイクの洗い残しにも注意が必要です。
受診の目安とクリニック選び~早期診断の重要性~
以下のような症状がある場合は、眼科受診をおすすめします。
- 目の乾燥が続く
- 視界がかすむ、ぼやける
- 目の疲れが取れない
- 異物感や痛みがある
- ゴロゴロ、シパシパといった目をつぶった時の異物感や違和感が頻回になって、日常生活に支障が出る
軽度でも放置すると角膜の傷につながる可能性があるため、早期診断が重要です。
特に、目の表面が乾燥し傷があるものの自覚症状がない人や、全身的な病気が原因でドライアイ症状が出ている人もいるので注意が必要です。
南船橋眼科の特徴
南船橋眼科は、南船橋駅直結で徒歩1分の通いやすい立地にあり、土日祝も診療に対応しています。
船橋市・南船橋エリアでドライアイや目の不調にお悩みの方が、継続して通院しやすい環境が整っています。WEB予約にも対応しているため、忙しい方でもスムーズに受診が可能です。
院長の佐倉達朗医師は、大学病院や総合病院において多くの白内障手術および近視外来を担当してきた経験があります。クリニックは木目調のインテリアが映える落ち着いた雰囲気の院内で、診察室、手術室のほか、広々とした検査室や大きな鏡を備えたコンタクトレンズ処方用のカウンターも設置されています。
眼科手術専用顕微鏡やレーザー治療機器など先進機器も導入し、専門的な診療を地域の中でも提供できるよう診療環境を整えています。赤ちゃんの眼の悩みから、近視治療、白内障手術、緑内障診療、レーザー治療や硝子体内注射まで幅広く専門的な眼科医療を行っています。
コンタクト処方箋・めがね処方箋ご希望の方は予約必須となりますが、それ以外の一般診療は予約がなくても受診可能です。
まとめ~目の健康を守るために~
ドライアイは、涙の量や質の低下により、目の表面が乾燥する病気です。
目が乾く、ゴロゴロする、かすむといった症状だけでなく、目の疲れやまぶしさ、さらには頭痛や肩こりといった全身症状を引き起こすこともあります。
現代社会では、スマートフォンやパソコンの長時間使用、エアコンによる乾燥、コンタクトレンズの装用など、ドライアイを引き起こす要因が数多く存在します。
ドライアイの治療には、点眼薬による治療や涙点プラグによる治療があり、症状の程度やタイプに応じて選択されます。また、日常生活での対策として、意識的にまばたきを増やす、作業環境を改善する、室内の乾燥対策を行うなどが重要です。
軽度でも放置すると角膜の傷につながる可能性があるため、早期診断が重要です。目の乾燥や疲れ、異物感などの症状が続く場合は、ぜひ眼科を受診してください。
南船橋眼科では、ドライアイの診断から治療まで幅広く対応しています。船橋市・南船橋エリアで目の乾燥や疲れにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
あなたの目の健康を守るために、今日からできることを始めてみませんか?
著者情報
南船橋眼科 院長 佐倉達朗

経歴
- 筑波大学医学群医学類 卒業
- 東京都立多摩総合医療センター 臨床研修医
- 東京医科歯科大学医学部附属病院 眼科
- 東京都保健医療公社大久保病院 眼科
- 川口市立医療センター 眼科
- 川口工業総合病院 眼科
- 柏厚生総合病院 眼科
- 南船橋眼科 院長



