白内障手術で選べる7種類の眼内レンズと特徴比較|南船橋眼科|千葉県船橋市の眼科|白内障、緑内障、糖尿病網膜症

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眼科コラム

白内障手術で選べる7種類の眼内レンズと特徴比較|南船橋眼科|千葉県船橋市の眼科|白内障、緑内障、糖尿病網膜症

白内障手術と眼内レンズの基本知識

白内障は年齢とともに誰にでも発症する可能性がある疾患です。日本では年間約160万件もの白内障手術が行われており、すべての外科手術の中で最も多く実施されています。

白内障手術では、濁った水晶体を取り出し、その代わりに眼内レンズを挿入します。かつては術後に分厚いメガネやコンタクトレンズでピント調整をしていましたが、現在ではほぼ全例で眼内レンズが使用されています。

近年、眼内レンズの種類は多様化し、単焦点眼内レンズだけでなく、多焦点眼内レンズや乱視矯正レンズなど、患者さんの生活スタイルや希望に合わせて選択できるようになりました。どのレンズを選ぶかは術後の見え方に大きく影響するため、特徴をよく理解して選ぶことが重要です。

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単焦点眼内レンズの特徴と適応

単焦点眼内レンズは、一点の距離にのみピントを合わせるレンズです。遠方・中間・近方のどこか一つにピントを合わせるため、ピントを合わせた距離の範囲内ではクリアな視野が得られます。

遠くに焦点を合わせた場合は手元を見るのに老眼鏡が、近くに焦点を合わせた場合は遠方を見るのにメガネが必要になることがあります。

単焦点レンズの最大の特徴は、まぶしい光もクリアに見えることです。夜間の運転時にもハローやグレアといった光のにじみやまぶしさを感じにくいため、夜間の運転が多い方に適しています。

また、すべての単焦点眼内レンズは健康保険が適用されるため、費用面でも選びやすいのが大きなメリットです。精密な見え方が必要な職業の方(カメラマン、デザイン関係、歯科医など)にも向いています。

多焦点眼内レンズの種類と見え方

多焦点眼内レンズには、大きく分けて「回折型」と「焦点深度拡張型(EDOF)」の2種類があります。さらに回折型は、2焦点レンズと3焦点自然視覚レンズに分類されます。

2焦点レンズは、2点の距離(通常は遠方と近方)にピントを合わせることができます。3焦点自然視覚レンズは、3点の距離(遠方・中間・近方)にピントを合わせることができ、より自然な見え方に近づけることが可能です。

焦点深度拡張型自然視覚レンズは、遠方から中間、そして実用的な近方距離まで切れ目なく見えるのが特徴です。ハローやグレアといった不快な症状がほとんどなく、コントラスト感度の低下も少ないですが、近方の見え方がやや弱いため、細かい字を読むときには老眼鏡が必要になることがあります。

どうですか?あなたの生活スタイルに合った多焦点レンズはどれだと思いますか?

乱視矯正機能付き眼内レンズ(トーリックレンズ)

乱視とは、角膜や水晶体のゆがみが原因で、ものの形をはっきりと見ることができない状態です。乱視があると、白内障手術後も視力が十分に出ないことがあります。

トーリック眼内レンズは、白内障を治療するとともに乱視を軽減できるレンズです。単焦点・多焦点眼内レンズの両方にトーリックタイプがあります。

角膜のゆがみによる乱視の矯正に適したレンズですが、乱視の種類や目の状態によっては使用に適さない場合もあります。乱視の程度によって必要性が判断されるため、術前検査での評価が重要です。

最近では軽度乱視にも対応できるトーリックレンズも登場しています。例えば、2024年に発売されたHOYA社のVivinex Gemetric Toricは、T2からT6までのラインアップがあり、軽度乱視にも対応可能です。

多焦点眼内レンズの最新トレンド

2025年現在、多焦点眼内レンズの技術は進化を続けています。特に注目すべきは、不快光視現象(ハロー・グレア)の軽減と、より自然な見え方を実現する技術です。

例えば、テクニスオデッセイ、テクニスシナジー、クラレオンパンオプティクスなどの回折型多焦点眼内レンズは、遠くから近くまでピントが合いやすい一方で、光のギラギラ感やコントラスト感度の低下といった課題があります。

2024年に発売されたHOYA社のVivinex GemetricとVivinex Gemetric Plusは、光学部の中心3.2mm径内に回折ゾーンを持つデザインで、不快光視現象の低減が期待されています。また、瞳孔径が大きくなると遠方のエネルギー割合が大きくなるデザインで、中間距離と近くの見え方も確保するための光配分となっています。

私の経験では、多焦点眼内レンズは適切な患者さんに使用すれば非常に満足度の高い結果が得られます。当院でも白内障手術を受けられる方の約5人に1人が多焦点眼内レンズを選択されています。

眼内レンズ選択の費用と保険適用

眼内レンズの選択において、費用も重要な検討要素です。単焦点眼内レンズはすべて健康保険が適用されます。保険の種類や手術時に使用する薬剤によって金額は異なりますので、医療機関での確認が必要です。

多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、2020年4月1日より厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。これにより、国内で承認された多焦点眼内レンズを使用する白内障手術に係る費用の自己負担が軽減される場合があります。

選定療養の場合、多焦点眼内レンズに係る費用は自己負担ですが、それ以外の通常の診療については健康保険から給付を受けることが可能です。一方、国内未承認レンズは全額自費診療となるため、費用が高額になります。

私の臨床経験では、コストパフォーマンスを重視するなら選定療養対象の国内承認レンズがおすすめです。費用面での不安がある方は、遠慮なく相談してください。

自分に合った眼内レンズの選び方

眼内レンズ選びで最も重要なのは、あなたの生活スタイルに合ったレンズを選ぶことです。日常生活で一番見ている距離、見たい距離を考えることが重要です。

例えば、読書や手芸など近くを見る作業が多い方は近くに、運転や旅行など遠くを見ることが多い方は遠くに焦点を合わせたレンズが適しています。また、パソコン作業が多い方は中間距離に焦点を合わせることも選択肢になります。

多焦点眼内レンズは、精密な見え方が必要な職業の方(カメラマン、デザイン関係、歯科医など)や夜間に運転する機会の多い方、白内障以外の眼疾患がある方には不向きな場合があります。

最終的には、眼科医との十分な相談のうえで決定することをおすすめします。当院では患者さん一人ひとりの生活スタイルや希望に合わせて、最適な眼内レンズをご提案しています。

まとめ:適切な眼内レンズ選択で快適な視生活を

白内障手術における眼内レンズの選択は、術後の視生活の質に大きく影響します。単焦点レンズ、多焦点レンズ、乱視矯正レンズなど、それぞれに特徴があり、一人ひとりの生活スタイルや希望に合わせた選択が重要です。

単焦点レンズは保険適用でコスト面でも安心ですが、多焦点レンズは眼鏡に頼らない生活を目指せるメリットがあります。どちらが優れているということではなく、あなたの生活に合ったレンズを選ぶことが大切です。

当院では日帰り白内障手術を実施しており、多焦点レンズや乱視矯正レンズなど多様なレンズを取り扱っています。患者さんのご要望に合わせたレンズをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

白内障でお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。適切な眼内レンズ選択で、より快適な視生活を手に入れましょう。詳しくは南船橋眼科までお問い合わせください。

院長 佐倉達朗

経歴

  • 筑波大学医学群医学類 卒業
  • 東京都立多摩総合医療センター 臨床研修医
  • 東京医科歯科大学医学部附属病院 眼科
  • 東京都保健医療公社大久保病院 眼科
  • 川口市立医療センター 眼科
  • 川口工業総合病院 眼科
  • 柏厚生総合病院 眼科
  • 南船橋眼科 院長

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