白内障の進行を抑える7つの方法と最新治療法|南船橋眼科|千葉県船橋市の眼科|白内障、緑内障、糖尿病網膜症

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眼科コラム

白内障の進行を抑える7つの方法と最新治療法|南船橋眼科|千葉県船橋市の眼科|白内障、緑内障、糖尿病網膜症

白内障とは?進行のメカニズムを理解する

白内障は、目の中のレンズにあたる水晶体が白く濁ることで視界に支障が出る病気です。本来透明であるべき水晶体が濁ることで、「物がぼやけて見える」「視界が霧がかって見える」「光がまぶしく感じる」などの症状が現れます。

白内障の主な原因は加齢です。80代になるとほぼ100%の方に白内障の症状が認められるようになります。60代以上の8割が罹患しているとも言われており、誰もが年を重ねるとともに発症するリスクが高まる病気なのです。

水晶体の濁りは、水晶体に含まれているたんぱく質が酸化し性質が変化してしまうことによって起こります。水晶体は光を集める働きをするため、紫外線によって活性酸素が発生しやすく、酸化障害を受けやすいのです。

白内障は進行性の病気であり、放置すると徐々に視機能に支障が生じていきます。進行速度には個人差があり、発症してから長期間変化が見られない方もいれば、短期間で急に悪化する方もいます。

白内障の進行を抑える7つの効果的な方法

白内障は手術で治せる病気ですが、発症したからといって必ず手術をしなくてはいけないものではありません。初期であれば、進行を遅らせる方法があります。

白内障で大切なことは、早期発見と進行予防です。ご自身でできる対策と医療機関での治療を組み合わせることで、白内障の進行を抑制し、手術の時期を遅らせることが可能になるかもしれません。

1. サングラスや帽子で紫外線から目を守る

水晶体の濁りの要因として紫外線が挙げられます。紫外線をカットする機能のあるサングラスや、つばの広い帽子を着用することで、目から入る紫外線の量をできるだけ少なくしましょう。

紫外線カットサングラスと帽子で目を守る様子特に夏場は紫外線が強くなりますので、外出時には必ず紫外線対策をしましょう。最近の研究では、紫外線だけでなく、高温環境も白内障のリスク要因になることが分かってきています。熱中症対策と合わせて、目の保護も意識することが大切です。

日常生活の中で意識的に紫外線対策を行うことで、水晶体の酸化を防ぎ、白内障の進行を遅らせる効果が期待できます。

2. 抗酸化作用のある食品を積極的に摂取する

水晶体は、たんぱく質の酸化により白く濁ってしまいます。この酸化による濁りを防ぐために、抗酸化作用のある食べ物を摂取する方法があります。

白内障の予防に効果があるとされている抗酸化物質には、ビタミンC、ベータカロチン、ルテイン、ゼアキサンチンなどがあります。これらを含む食品を意識的に摂取しましょう。

  • ビタミンC:いちご、レモン、ブロッコリーなどの野菜や果物、緑茶(せん茶)、焼きのり
  • ベータカロチン・ルテイン:にんじん、ほうれん草、ピーマン、かぼちゃなどの緑黄色野菜
  • ゼアキサンチン:ほうれん草などの緑色野菜、オレンジジュース、とうもろこし、柿、ブロッコリー

バランスの良い食事を心がけ、これらの抗酸化物質を日常的に摂取することで、水晶体の酸化を防ぎ、白内障の進行を遅らせる効果が期待できます。

3. 禁煙する

厚生科学研究の「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」によると、喫煙は白内障発生リスクを上昇させること、そして禁煙は発症リスクを下げるために有益であるとの研究結果が発表されています。

喫煙をすると、タバコに含まれるニコチンが毛細血管を収縮させ血流障害が起こります。また、煙の成分の一部はビタミンCを破壊し、タバコを1本吸うことで25~70mgものビタミンCが減少するといわれています。

生活習慣の改善や、抗酸化作用のあるビタミンCを含む食べ物の摂取が予防になると考えられる白内障にとって、喫煙はリスクとなりえます。白内障の進行を抑えるためにも、禁煙を心がけましょう。

4. 医師が処方する点眼薬を使用する

水晶体の濁りは目薬で治ることはありませんが、白内障の予防、進行を抑制する目的で使用されている目薬があります。

白内障治療用の点眼薬を使用している様子白内障の起因となるキノイド物質の成長を抑え、水晶体が混濁化するのを防ぐ「ピレノキシン点眼液」や、白内障の進行にともない減少するグルタチオン量を補う抗酸化物質である「グルタチオン点眼液」があります。

これらは市販されている目薬ではないため、医療機関を受診して処方してもらう必要があります。ただし、点眼による白内障の予防、進行抑制効果については、現在と同等の基準をみたす薬効評価がなされておらず、効果については限定的です。医師と相談のうえで点眼治療を行いましょう。

5. 糖尿病対策として食生活の見直しと適度な運動を習慣化する

糖尿病は白内障の発症リスクを高めることが知られています。糖尿病患者さんは、血糖値のコントロールが不良だと、若年でも白内障を発症することがあります。

糖尿病の方は、血糖値のコントロールを適切に行うことが、白内障の進行を抑制するためにも重要です。食生活の見直しや適度な運動を習慣化し、糖尿病の管理を徹底しましょう。

また、糖尿病でなくても、バランスの良い食事と適度な運動は、全身の健康維持につながり、目の健康にも良い影響を与えます。

6. 定期的な眼科検診を受ける

白内障は早期発見・早期治療が重要です。自己判断で眼科に行くのを止めず、慎重に進行状況を観察していくことが大切です。

定期的な眼科検診を受けることで、白内障の進行状況を把握し、適切な時期に適切な治療を受けることができます。特に40代以降は、年に一度は眼科検診を受けることをおすすめします。

検診では、視力検査だけでなく、細隙灯顕微鏡検査などで水晶体の状態を詳しく調べることができます。早期に白内障を発見できれば、進行を抑制するための対策を早めに始めることができます。

7. ストレスを軽減し、十分な睡眠をとる

ストレスや睡眠不足は、体内の酸化ストレスを増加させる要因となります。酸化ストレスは白内障の進行を早める可能性があるため、ストレスの軽減と十分な睡眠は白内障の進行抑制に役立つと考えられます。

ストレス解消法としては、趣味を楽しむ、適度な運動をする、深呼吸やリラクゼーション法を取り入れるなどがあります。また、質の良い睡眠をとるために、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、規則正しい生活リズムを保つなどの工夫をしましょう。

白内障の最新治療法と進展

診療室

白内障の治療法は日々進化しています。従来の治療法に加え、最新の研究や技術の発展により、より効果的で患者さんの負担が少ない治療法が開発されています。ここでは、白内障の最新治療法について解説します。

白内障の基本的な治療法は手術です。水晶体を人工レンズに差し替える手術によって、視力を改善することができます。一度手術を受けたら、再発することはありません。

白内障手術は日帰りで行われることが多く、局所麻酔で行われるため、痛みはほとんどありません。手術時間も短く、多くの場合10〜15分程度で終わります。

多焦点眼内レンズによる視力回復

従来の眼内レンズは単焦点レンズが主流でしたが、近年では多焦点眼内レンズの技術が進化しています。多焦点眼内レンズを使用することで、遠くから近くまでピントが合いやすくなり、手元も遠くも裸眼で見えるようになります。

2025年現在、多焦点眼内レンズには大きく分けて国内承認レンズと国内未承認レンズの2種類があります。国内承認レンズには選定療養という制度を使えるため、費用負担を抑えることができます。一方、国内未承認レンズは全額自費診療になるため、費用が高額になります。

さらに、選定療養でも自費診療でも、回折型と焦点深度拡張型(EDOF)の2種類からレンズの種類を選択します。回折型のレンズは遠くから近くまでピントが合いやすいですが、ハロー・グレアと言われるような光がギラギラ見える症状が出たり、色の鮮明さ(コントラスト感度)が劣る場合があります。

焦点深度拡張型(EDOF)のレンズはハロー・グレアや、コントラスト感度の低下といった症状がほぼないかわりに、近方の見え方がやや弱く、手元の細かい字などを見るときに老眼鏡が必要になることがあります。

選定療養対象の国内承認レンズの中でも、テクニスオデッセイ、テクニスシナジー、クラレオンパンオプティクスなど様々な種類があり、それぞれに特徴があります。眼の状態やライフスタイルに合わせて、最適なレンズを選ぶことが重要です。

レーザー治療の進化

白内障手術の技術も進化しており、フェムト秒レーザーを用いた白内障手術(FLACS)も行われるようになってきました。従来の超音波を使用する方法(超音波乳化吸引術)に比べて、より精密な手術が可能になります。

また、白内障手術後に発生することがある後発白内障に対しては、YAGレーザーによる治療が効果的です。後発白内障は、白内障手術後に残った水晶体の袋(水晶体嚢)が濁ることで起こります。YAGレーザー治療は短時間で視力を改善でき、術後はほとんど痛みを感じず、早く日常生活に戻れることが多いのです。

白内障予防薬の研究開発

現在、白内障の手術加療は、手術機械および眼内レンズの進歩などにより、安全かつ洗練された治療法となっています。しかし、後進国、紛争地域、震災後の過疎化地域など多くの場所では、いまだに設備、医師不足、資金不足などにより白内障手術を受けることが困難な状況にあります。よって、より安価な、非手術的治療の開発が進められています。

2015年にオキシステロールの1種であるラノステロールと25-hydroxycholesterol (VP1-001)が、αB-クリスタリン蛋白質のシャペロン活性を増強させることで、クリスタリン蛋白質の凝集を溶解し、水晶体混濁を再透明化させるという研究結果が発表されました。

また、UNR844(EV06: lipoic acid choline ester 1.5%)という老視予防点眼薬が報告されており、アメリカ合衆国で臨床治験が進められています。このUNR844は抗酸化作用があり、水晶体蛋白質のジスルフィド結合を減少させて水晶体を柔らかくさせると報告されています。この点眼薬が白内障の抑制効果があるかどうかは不明ですが、核硬化の予防、抗酸化作用により核白内障を予防できる可能性があります。

さらに、白内障の主原因である酸化ストレスや糖化ストレスの予防や消去をすることで、白内障を予防できる物質の研究開発も進められています。大規模疫学調査によると、ルテインやマルチビタミン、ビタミンC, B, Eなども白内障進行抑制効果が報告されています。

白内障手術のタイミングと放置するリスク

白内障は進行性の病気ですが、進行速度は人によって差があります。発症してから長期間変化が見られない方もいれば、短期間で急に悪化する方もいます。では、いつ手術を受けるべきなのでしょうか?

白内障手術のタイミングは、見え方に不自由を感じたときが目安となることが多いです。視力に問題がなくてもまぶしさを強く感じるなど、生活に問題がある場合には手術を受けた方が良いでしょう。

白内障を放置することで、水晶体の白濁が進行し、視力が低下していきます。また白内障手術を受けるときの手術の危険性も白内障の進行とともにどんどん上がっていきます。

白内障が進行すると、水晶体が硬くなり、手術の難易度が上がります。また、視力が極端に低下すると、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、転倒などの事故のリスクも高まります。

医療水準の高い日本において、白内障による失明率は3%と低値ではあるものの、実は全世界では失明原因のトップが白内障です。適切な時期に適切な治療を受けることが重要です。

定期的な眼科検診を受け、医師と相談しながら、自分に合った治療方法とタイミングを決めていきましょう。

まとめ:白内障と上手に付き合うために

白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる病気ですが、その進行を遅らせるための方法はあります。紫外線対策、抗酸化物質の摂取、禁煙、点眼薬の使用、糖尿病対策、定期検診、ストレス軽減と十分な睡眠など、日常生活での工夫で白内障の進行を抑制できる可能性があります。

また、白内障の治療法も日々進化しており、多焦点眼内レンズやレーザー治療など、より効果的で患者さんの負担が少ない治療法が開発されています。白内障予防薬の研究開発も進められており、将来的には手術以外の治療選択肢が増える可能性もあります。

白内障は早期発見・早期治療が重要です。定期的な眼科検診を受け、医師と相談しながら、自分に合った治療方法とタイミングを決めていきましょう。

当院では、白内障の診断から治療まで、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療を提案しています。白内障でお悩みの方は、お気軽に南船橋眼科までご相談ください。日帰り白内障手術も行っており、多焦点レンズや乱視矯正レンズなど多様なレンズを取り扱い、患者さんのご要望に合わせたレンズをご提案いたします。

目の健康を守るためには、日頃からの予防と適切な治療が大切です。この記事が皆様の白内障対策のお役に立てれば幸いです。

詳しい情報や診療についてのご質問は、南船橋眼科までお問い合わせください。土日祝日も診療しておりますので、平日のご来院が難しい方でもお気軽に通院いただけます。

院長 佐倉達朗

 

 

 

 

 

 

 

 

著者情報

経歴

  • 筑波大学医学群医学類 卒業
  • 東京都立多摩総合医療センター 臨床研修医
  • 東京医科歯科大学医学部附属病院 眼科
  • 東京都保健医療公社大久保病院 眼科
  • 川口市立医療センター 眼科
  • 川口工業総合病院 眼科
  • 柏厚生総合病院 眼科
  • 南船橋眼科 院長

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